アンケート結果からみるRPA導入前/導入後の課題と解決策

2021.10.25

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はじめに

RPAツールを今導入検討されている方もすでに導入済みの方も、それぞれ悩んでいること、課題になっていることはありませんか。課題が生じたとき、「他社の場合はどうなのだろうか」と気になることもありますよね。RPAツール導入に関する課題は様々ですが、導入前/導入後それぞれに傾向があります。本コラムでは、これまでに当社がセミナーのアンケート等で集計したデータをもとに、RPAツール導入前/導入後の課題とその解決方法をお伝えします。

アンケート結果から分析したRPAツール導入前/導入後の課題

アンケートでは、以下の2つの項目で回答を募集しました。

    • RPAを検討する際、迷ったこと・悩んだことを教えてください。
    • 【RPAを導入されている方】導入後に困ったことはあれば教えてください。

    【コラム】アンケート結果1

    導入するRPAを選定する立場と実際に利用する立場の方にバランスよく回答いただいています。
    それでは、それぞれの項目の回答を見ていきましょう。

    まず1つ目は、RPAを検討している導入前の段階の悩みです。アンケートの結果は以下のとおりでした。

    最も多かったのは、「自動化すべき業務の洗い出し」です。47.4%と、およそ半数のRPA導入検討中の方が課題に感じていることが分かりました。その他にも、「RPA運用体制の構築」「自動化シナリオの作成」といったところに課題を感じている割合も高くなっています。

    上記のグラフに項目としてあがっている課題以外にも、「その他」の中には「ロボット作成要員の確保」といった回答や「製品選定」といった回答も見受けられました。

    次に、RPA導入後の課題についての回答です。こちらの項目は、すでにRPAを導入している方にのみ回答を募集しました。

    【コラム】アンケート結果3

    導入後に困ったこととして一番多く票が集まったのは、「他部署に横展開がうまくいかない」でした。「ロボットの作成や操作が難しい」「よく止まってしまう」といったツールに関することや「コンサル費用や追加開発の費用が高かった」といった費用面についても課題に感じる方も一定数いることが分かりました。

    傾向として、導入前の段階では、対象業務の選定や運用体制といった部分に課題を感じる割合が高かった一方、導入後には横展開の方法や運用してから気づくツールそのものの課題についても票が集まりました。また、どちらにも共通して、ロボットの作成を課題に感じる割合が高いという傾向が見受けられました。

    RPAツール導入前/導入後の課題の原因と解決策

    まず、導入前の課題として最も多かった「自動化すべき業務の洗い出し」という課題についてです。自動化対象業務の洗い出しが課題になってしまう理由は大きく2つあります。

    一つは、RPAのできること・できないことを理解しないまま業務の洗い出しをしてしまうことです。RPA導入の流れとして、はじめに業務の洗い出しから取り掛かるというお話を伺うことがよくあります。はじめに業務の洗い出しを行ってしまうと、RPAには不向きな業務を選定してしまったり、逆に自動化できるはずの工程の少ない業務が対象から漏れてしまうなどの問題が出てきます。検討を始めた段階ですでに明確に対象業務や業務上の課題が決まっている場合は別ですが、そうでない場合は、この「とりあえず業務の洗い出しから」が失敗の原因になってしまうことがあります。

    解決方法としては、トライアルを通してRPAでできること・できないことを理解することがあります。多くのRPAツールは購入前に事前にトライアルすることができます。それを利用して、RPAでできること、できないことを理解することで、前述したような業務の選定ミスを防ぐことができます。また、トライアルをしている中で、適用できそうな業務を思いつくこともあります。それを繰り返していくことで、できると実感できる範囲の小さな業務の自動化が進み、一つ一つの効果は小さくても、積み重ねることで大きな効果が見込めるようになります。

    こちらのコラムでは、自動化できる業務、できない業務について詳しく記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

    もう一つの原因は、運用体制の問題です。この問題は、アンケートでも上位の課題、「RPA運用体制の構築」にも直結します。例えば、IT部門でロボットを作成し、その他部門で利用をするというケースでは、IT部門が利用部門に自動化したい業務のヒアリングを行う必要があります。その場合、利用部門がRPAツールに詳しいとも限らず、適切な業務が出てくる保証はありません。また、「他の業務で今は忙しい」と利用部門からの協力が得られないこともあります。

    解決策としては、利用部門主体でロボットの作成から運用まで行うことです。利用部門が主体となることで、ロボットの作成も利用部門で行うので、業務ヒアリングの工程は必要がなくなり、業務選定がスムーズになります。また、付随的な効果として、利用部門の当事者意識が芽生え、業務自動化に対するモチベーションが上がることも見込めます。一方で、この方法は、選定するツールが成否を左右します。利用部門が主体でも、問題なくロボットが作成でき、継続的に運用できるツールを選定する必要があるでしょう。

    ツールの選定方法については、こちらのコラムにて詳しく解説しています。

    次に、導入後の課題として最も多かった他部署への横展開です。横展開がうまくいかない原因としては、運用体制の問題とツールの選定があります。
    運用体制が原因となるのは、推進サポートの担当者が不在の場合です。横展開をうまく進めるために理想的な運用体制は、IT部門などがRPAのアドバイザー的立場になることです。自動化できるかどうかの判断やロボット作成の際のアドバイスを行うことで、各利用部門が主体に進めつつ、まだ利用していない部門でも、利用への障壁を下げることができます。

    また、既存のツールをそのまま横展開しようとするとうまくいかないこともあります。その場合は、無理に既存のツールを横展開するのではなく、各部門で複数のツールを使い分けることをお勧めします。例えば情報システム部門では、多少複雑でも多機能なツール、事務系部門では、簡単にロボットが作成できるツールといった使い分けがあります。

    最後に共通してあがっていた、「ロボットの作成や操作が難しい」「自動化シナリオの作成」といった課題です。原因として考えられるのは、選定するツールの問題です。
    近年主流とされるRPAツールの多くは、プログラミングの必要なく自動化シナリオを作成できることが特徴ですが、一方で特定の言語を覚える必要がないというだけで、ツール独自の用語を覚えたり、使いこなすために2~3か月の研修を受ける必要があるRPAツールも存在します。選定するツールを誤らないためにも、デモ画面だけで判断するのではなく、実際にトライアルをすることをお勧めします。

    まとめ

    本コラムでは、アンケート結果をもとに、RPAツールの導入前、導入後それぞれの課題と解決策について解説しました。「まずは業務の洗い出し」「IT部門でロボットを作成」といったよく聞かれる運用体制が、実は失敗の原因になってしまうこともあります。また、選定するRPAツールは、様々な課題が生じる大きな要因の一つです。本コラムやその他コラムを参考に、運用体制、ツールの選び方を検討してみてはいかがでしょうか。

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アイコン_齊藤
ペンネーム りっぴ

大学卒業後、新卒でテリロジーに入社。EzAvaterの営業を担当。
出身地:神奈川県大和市
趣味:ピアノ、ゲーム
好きなゲーム:ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド、GHOST OF TSUSHIMA など

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