RPAツールでロボット化できる業務・できない業務

2021.5.24

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■ もくじ

なぜ「業務の洗い出し」に悩むのか

RPAの導入検討で最も多い悩みの1つは「業務の洗い出し」です。様々なお客様とお話させていただく中で、「RPAで自動化する業務」に関するお悩みを多く耳にします。実際に弊社ウェビナーのアンケート結果でも、自動化すべき業務に関する課題が多いことが分かっています。

■RPAを検討する際、悩んだこと・迷ったこと

1位 自動化すべき業務の洗い出し 63%
2位 導入効果の提示 60%
3位 RPAの運用体制の構築 53%

*株式会社テリロジー主催セミナー 事前アンケートより(n=30、複数回答可 集計期間:2020/8~2020/12)

中には、自動化すべき業務の洗い出しができず、RPA導入自体を諦めてしまうケースもあります。しかし、そのようなケースでも本来なら自動化できていたはずの業務や、RPAを導入することで解決できる課題は残ったままです。
反対に、業務の洗い出しという課題を解決することで、RPAの導入は成功に近づくとも言えます。

では、なぜ多くの人が自動化すべき業務の洗い出しを課題に感じているのでしょうか。主な原因は大きく以下の2つです。

  • ロボット化できる業務とできない業務が分からない
  • 業務担当者とRPAの運用担当者が別で、業務のヒアリングがうまくいかない

上記の2つの原因は解決方法のアプローチが異なります。前者の場合はRPAそのものに対する理解、後者の場合は運用方法や社内体制の考え方が必要になります。今回のコラムでは前者の「ロボット化できる業務とできない業務が分からない」という課題とその解決方法について詳細に解説します。

RPA≠魔法のツール

ロボット化できる業務とできない業務を把握するためには、まず「そもそもRPAとは何ができて、何が目的のツールなのか」という点について明確にする必要があります。

「業務の自動化」というと、人間の代わりに様々な仕事をしてくれる魔法のツールのようなものを想像するかもしれませんが、実際は異なります。
現在、RPAができるのは「プログラミング不要」で「デジタル化されている」「人の判断が伴わない定型業務」の自動化です。具体的にはどのようなことなのでしょうか。

はじめに「プログラミング不要」という点についてです。
もともとRPAという言葉が一般的になる前から、自動化ツールと呼ばれるものは存在していました。では、RPAと従来の自動化ツールとの違いはどこなのでしょうか。
RPAが従来の自動化ツールと決定的に異なるのは、複雑なプログラミングを行わずに自動化が実現できるという点です。これによってより幅広い人が業務の自動化を容易に実現できるようになりました。

次に「人の判断が伴わない定型業務」という点です。
わかりやすく説明するために、RPAとAIを比較してみましょう。RPAは、決められたルール通りに、人間が行っていた作業を代替して代理で遂行します。

一方で、人間がおこなって行っていた判断を代替するのがAIです。簡単に言うとRPAは「作業手順」の自動化のためのツールであり、「人の判断」まで担うことができません。
もちろんあらかじめ条件分岐を設けて、ある一定の規則条件に従って操作を分岐させることはできますが、人間が行うような複雑な判断は難しいのが現状です。

そして、思いのほか見逃しがちなのが、
「扱えるデータの種類」です。現状RPA単体で扱えるデータはデジタル化されたデータのみです。
紙や手書き文字のようなアナログデータを取り扱う場合には、OCR(Optical Character Recognition/Reader、光学的文字認識)と連携させる必要があります。

上記を踏まえると、現状のRPAは「プログラミング不要」で「デジタル化されている」「人の判断が伴わない定型業務」の自動化ができるツールといえます。RPAの適用範囲を簡単な図にすると以下のようになります。

ロボット化できる業務・できない業務

では、具体的にどのような業務がRPAでの自動化対象になるのでしょうか。
一般的にロボット化ができる、もしくはしやすいといわれているのは以下のような業務です。

  • システム間の転記業務(WEBブラウザ、基幹システム、Excel等)
  • データチェック業務(突合処理)
  • 情報収集、データ集計業務
  • 集計データのレポート化
  • メール配信、通知業務

<システム間の転記業務>
クラウドサービス等のWEBブラウザから得られるデータなどをExcelや自社の基幹システムに転記させる業務などが当てはまります。システム間でデータをやり取りする業務はRPAでの代表的な自動化対象業務です。画像認識技術を使ったRPAでは、プログラミングを行わないと連携ができない自社開発のアプリケーションなどでも自動化することができるため、幅広い転記業務に適用可能です。

<データチェック業務>
データ同士の突合処理や単純なルールに基づいてデータの正誤判断をさせる業務などが当てはまります。

<情報収集、データ集計業務>
定期的にWEBサイトやシステムから情報を収集して、既定のフォーマット(ExcelやWord等)でそのデータを集計する業務です。ニュースサイトから指定の検索ワードにヒットする記事をまとめる業務などが該当します。

<集計データのレポート化>
「情報収集、データ集計業務」で集計したデータを決まった形でレポート化する業務です。よくある事例としては、売上データの月次レポートの作成などがあります。

<メール配信、通知業務>

定型的なメールの配信や通知業務などが該当します。例えば、RPAで作成したレポートを添付して送信したり、人事システムなどでアラートが出ている社員に対して定型文のメールを送るような業務などがあります。

しかし、対象業務を考える場合は、上記に当てはまるロボット化できる業務を洗い出すより、あらゆる業務の中から下記のような自動化に向かない業務を除外していく方法が効率的です。

  • 人の判断や推測が伴う業務
  • 毎回やり方が変わる非定型業務

とはいえ、RPAで自動化できるかどうかは事例だけを見ていても判断できないことがほとんどです。企業によって同じ業務でもフローや使用するシステムに差があるからです。
当社では、業務の洗い出しをするのではなく、まずはトライアルでRPAを使ってみて、できること、できないことを実感していただくことをお勧めしています。

RPA活用領域を拡大するためには

それでもよく聞くのは、「トライアルした結果、RPAでできることが見つからなかったから導入を断念する」というケースです。このケースに陥るのには原因があります。それは、業務の最適化がなされていないことです。

「RPA≠魔法のツール」でも述べた通り、RPAには扱いやすいデータ、扱いにくいデータがあります。これまで人の手で行っていた時は課題に感じていなかったことも、ロボット化するとなると新たな課題となることがあります。業務をロボット化する際はExcelのフォーマットの変更や紙データをシステムに移行するなど、データやフローを「ロボットに優しい」形に変える、そもそも必要のない工程は思い切ってなくすなどの最適化が必要です。そういった工夫を重ねることによってRPAの活用範囲を広げていくことができるでしょう。

また、業務を自動化する際、すべてをRPAに任せるのではなく、ある程度ロボット化したうえで、最終的な確認作業は人で行うなど、必要に応じて人とロボットが共存して一つの業務を自動化するという意識で行うとRPAの活用がより進みます。

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アイコン_齊藤
ペンネーム りっぴ

大学卒業後、新卒でテリロジーに入社。EzAvaterの営業を担当。
出身地:神奈川県大和市
趣味:ピアノ、ゲーム
好きなゲーム:ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド、GHOST OF TSUSHIMA など

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